頭痛教室

埼玉国際頭痛センターでは毎月1回、市民の方を対象とした頭痛教室を開催しています。

第1回 「頭痛で悩まないために」日時:平成22年11月27日(土)14時10分〜16時05分
内容:参加職員(頭痛チーム医療グループ)の挨拶
   レクチャー(坂井センター長)
   参加者のグループでの話し合い “頭痛井戸端会議“
   頭痛体操の実技紹介
   質疑応答
(1)Aさん(女性)
(2)Bさん(男性)
(3)Cさん(男性)

【参加者の頭痛の悩みと質問、坂井のコメント】
(1) Aさん(女性)
生理前、天候によって頭痛が起こる。20歳前後からひどくなった。母親も頭痛持ち。子供のころから薬を飲んで寝込んでいる母親の姿を見ていた。頭痛の前触れとして生あくび、チョコレートが食べたくなる。頭痛の時は光、音、においに敏感になる。ひどい時は嘔吐あり。頭痛の治療法(薬)を知りたい。

(坂井のコメント)
典型的な片頭痛です。治療のコツは、正しい薬の飲み方をよく理解し、いつ頭痛が起こっても困らないようにしておくことです。片頭痛が始まったら、出来るだけ早く片頭痛治療薬であるトリプタン系の薬を飲みます。ただ、片頭痛時には胃や腸の動きが止まったり、逆に動いて吐き気がしたりします。片頭痛薬も飲むタイミングが遅れると胃・腸からの吸収が悪くなり、効きが悪くなります。そこで、生あくびなど片頭痛の気配がしたとき、ナウゼリン(ドンペリドン)などの消化管の動きを良くする薬を飲んでおくと、片頭痛薬の胃腸からの吸収が良くなり、効果的です。

(2) Bさん(男性)
子供のころから頭痛持ち。最近は毎日のように頭全体に、鈍い痛みが続く。肩こりはなし、頭を使うと頭痛がひどい。微熱が続き、疲れやすい。頭痛で仕事を休んでいるが、なんとか普通の仕事に戻りたい。頭痛とメンタル面との関係を知りたい。

(坂井のコメント)
緊張型頭痛です。以前は筋収縮性頭痛、ストレス頭痛ともよばれました。身体的(筋収縮性)ストレスと精神的ストレスのいずれもが頭痛の原因になります。筋収縮性頭痛は、パソコン作業のような長時間にわたる姿勢異常(うつむき姿勢)などの身体的ストレスが原因で起こります。頭痛とともに疲労感、ふわふわめまい、目の疲れなどを伴うのが特徴です。精神ストレスによる頭痛は、うつ状態、パニック障害などが脳の痛み調節系の働きを障害するために起こります。頭痛体操は筋の緊張をほぐすとともに、気持ちを前向きにして緊張型頭痛の治療に役立ちます。緊張型頭痛には薬物療法も行います。

(3) Cさん(男性)
3週間ほど前の夜10時ごろ、急に激しい頭痛あり、今までに経験したことのない頭痛だった。その後もずっと頭痛が続いている。本日(11月27日)外来受診、頭部MRIは異常なし。子供のころ(10歳以前)から年に2〜3回くらい頭痛があって辛かった。頭痛が起こる前の10分間ほど、視野にチカチカとしたものが拡がって見えることがあった。以前、頚部MRIにて頸椎症とヘルニアがあるといわれた。肩こりがひどくなると頭痛が起こることもある。ただ、今度の頭痛は今まで経験のない頭痛なので心配。

(坂井のコメント)
 小児期よりの頭痛は閃W暗点を伴う「前兆のある片頭痛」です。ところが、Cさんは、今回の頭痛は今までの頭痛とは違う頭痛と感じています。片頭痛のような慢性頭痛があり、これまでに何回も頭痛を経験している方でも「今までにない頭痛」を感じたときは要注意です。急に起こった場合は脳出血やクモ膜下出血の可能性もあります。こういった場合は、すぐに病院を受診して下さい。Cさんの場合、今回は片側の頸椎症が頭痛の原因となった可能性が考えられました。

H23.03.03.
Top of page