B 頭痛専門外来の受診
(10) もう一つ大切なことがあります
医師は郵便封筒くらいの大きさの冊子をわしてくれた。「頭痛ダイアリーですが、カレンダー方式ですので頭痛のあったときに印をつけておいて下さい」
「はい、この空欄には何でも書いて良いんですか?」
「そうです。頭痛は自覚症状で、誰にも分かってもらえないですよね。まっ、自分でもなんだかわからないので、ダイアリーを書いてみると頭痛のことが良くわかって、今度私と二人でダイアリーを見ながら次のステップに進めます。片頭痛は観察してみると、奥の深いところがあります」
医師は、笑顔でBさんに穏やかな視線を向けた。
「有り難うございました」
「それではお大事に、1ヶ月後に予約入れておきます」
Bさんは嬉しかった。『頭痛専門外来』にきて良かった。頭痛は我慢するための試練としか思っていなかったが、治療が出来る病気だということが分かった。Bさんにとっては、カルチャーショックのようだった。良くなるかわからないけど、頭痛が来たらトリプタンを早速飲んでみよう。それに、『片頭痛には奥の深いところがあります』という医師の言葉が安心を大きくさせた。今日の話しで分かったことも多かったが、片頭痛の体験にはまだ不思議なことが多い気がする。
頭痛ダイアリーをつけてみよう。片頭痛は克服できる病気なのかもしれない。寄り添った妻と笑顔で、病院をでた。
前頁
第一頁