頭痛専門外来

(4) 片頭痛は環境の変化に敏感


「片頭痛は環境の変化にも敏感に反応しやすいのです」
「脳のセロトニンという物質が片頭痛を起こしやすくて、そのセロトニンは環境の変化にも弱いのですね」Bさんは真剣だった。
「そのとおりです。片頭痛の起こる脳は、色々な環境の変化に反応します。例えば、女性の月経が始まる頃に片頭痛が起こりやすいのは、それまで続いていた高温期に体内でレベルの高かったエストロゲンが低下して月経が始まる。その変化に脳が敏感に反応するために片頭痛が起こりやすいと考えられます」
 Bさんの妻は片頭痛はないが、月経前には必ず生あくびが出たり、眠気におそわれたりすることがあるので、脳が女性ホルモンの変化という体内の環境変化に反応する、という医師の説明はわかる気がした。

「天候の変化、気圧の変化や湿気の変化にも、『片頭痛脳』は敏感に反応して、片頭痛を起こすことが良くあります」
「私も中学生くらいの時は天気が悪くなる前に良く頭痛が起こって、母におまえの頭痛は天気予報みたいだと言われたことがあります」
「そうなのです。患者さんの中には、東京に住んでいる人が九州に低気圧が近づくと頭痛が始まると断言する方もおられます。環境の変化や、自分の体の変化に敏感なのですね」
「私は神経質ということですか?」Bさんは、自分はそれほど敏感な人間だと思っていなかったので聞いてみた。
「脳が敏感に反応するということですから、大体は反応の良い脳ということで、悪いことはなにもありません。ただ、片頭痛が起こりやすくて、損する脳だということです」医師の説明は最近の研究で解明されている。

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