頭痛専門外来

(9) トリプタンの自己注射


「トリプタンは早めに飲んだ方が良いということは良くわかりましたが、土曜の頭痛のように、目が覚めて、気がついたときにはもう頭痛がひどくなっているときはどうすれば良いですか?」
「頭痛がひどくなると吐き気も強く、トリプタンを飲んでも薬が胃や腸から吸収されません。トリプタンが効かない理由のひとつです。そんなときに、トリプタンを注射するとすぐさま体内に吸収され良く効きます」
「トリプタンは注射も出来るのですか?すごいですね。でも、頭痛のときに病院に行くのはもうこりごりです」

「トリプタンの在宅自己注射が医療保険で認められています」
「自己注射って、自分で注射するんですか?」
「そう、イミグランという片頭痛の自己注射用キットがあります。糖尿病の人がインシュリンを自分で注射する話を聞いたことありますか?」
「はい、でも糖尿病は毎日決まった時間に注射するのですよね。片頭痛の場合はいつ注射すれば良いか難しいですね」
「もちろん、片頭痛であることを確認出来ることが大切で、また、注射するのはひどい頭痛で、吐き気もあるようなときです」

自分で注射できるかな?
「ノック式のボールペンのような皮下注射キットです。太ももなどにキットの先を押しつけ、ボールペンの芯を押し出すようにノックすると、キットの先から針がはじき出されて、そこからトリプタンが注入されます。1〜2秒で終わります」
「怖いですね」
「注射の仕方は覚えてしまえば簡単です。消毒の方法なども看護師さんが詳しく説明してくれます」

「自己注射はもちろん注意深くしてほしいのですが、大切なことは、その頭痛が片頭痛かどうかを自分で診断しなくては注射の意味がありません。そのためにも頭痛ダイアリーを付けておく必要があります」
「はい、確かにダイアリーを付けてみて、自分でもはじめて自分の頭痛のことがわかったような気がします」
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