頭痛専門外来

(11) トリプタン、タイミング良く飲めるかな?


 Aさんは少し不安だった。医師のいうように慢性連日性頭痛状態からは抜けだし、これからは片頭痛が来るたびにトリプタンで片頭痛発作を撃退出来れば良いことはわかった。ダイアリーをつけてみて、自分の頭痛がどんなパターンで来るかがつかめそうだし、浴びるように飲んでいた鎮痛薬も減った。
 頭痛体操やアミトリプチリン(トリプタノール)で自分の脳の痛みの番人とやらも再び活動をはじめたらしい。何よりも、ダイアリーのおかげで夫が自分の最大の理解者になってくれたことが本当に嬉しかった。今まで、2人の夜の愛も、気分がすぐれないといって夫を置き去りにしてばかりだった。お返しがしたい。

 「先生、片頭痛が始まってタイミング良くトリプタンを飲むって、考えてみたら上手に出来るか心配です」
「Aさん、あまり深刻に考えないで下さい。片頭痛の気配がしたら、まずドンペリドン(ナウゼリン)を飲むのです。最初の診察の時には、トリプタンとドンペリドンを一緒に飲むようにお話ししました」
「はい、先週の片頭痛の時はそうしました」
「Aさん、片頭痛の気配に気付くことありますよね」
「はい、生あくびが出たり、眠かったり、整理の前のようなこともあります。天気が急に変化したり、デパートの雑踏で疲れたりした後には片頭痛がよくきます」
「気配だけして、実際には頭痛のこないこともありますか?」
「それも、時々あります。でも、たいていは私の感ずる気配は正確です」

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