頭痛専門外来での診察風景

(12)緊張型頭痛はどうするか


「緊張型頭痛はどうした良くなりますか」 Aさんは、緊張型頭痛もありそうだと思っている。
「Aさんには緊張型頭痛もあると思います。動くと辛い片頭痛ではないけれども、頭の全体がずんと重く、うっとうしい頭痛ですね」
 Aさんの頭痛で片頭痛以外がすべて緊張型頭痛とは限らない。鎮痛薬の飲み過ぎによる頭痛も混じっていそうである。緊張型頭痛の治療は、うっとうしい頭痛対策として重要である。トリプタノールによる痛み調節系の活性化により、片頭痛以外の頭痛、とくに緊張型頭痛が改善されることも期待される。緊張型頭痛は頭痛の程度は軽いものの、持続時間が長く、頭痛全体で見るとAさんにとっては緊張型頭痛にも積極的な対策が必要となる。

1)筋肉の緊張をとる
「緊張型頭痛は、主として頭を支えている首や肩の筋肉の緊張が原因です。先ほど、筋肉の触診をしたとき、片頭痛の圧痛点以外にも筋肉のしこりで痛むところがありましたね」 医師は頭痛体操の前の触診をもう一度繰り返しながら、話しを続けた。
「片頭痛の圧痛点の痛みは、なくなったままです。良かった。ただ、その他に筋肉のしこりがいくつかあって、押すと痛みましたね。このあたりですが、この痛みはまだ残っています。首の後ろから、肩にかけてのしこりです」
「はい、結構痛みます。片頭痛のところの痛みほどではありませんが」
「これらの筋肉の緊張をとることが治療になります」
緊張型頭痛は筋緊張のみが頭痛の原因でなく、精神的なストレスやうつ状態も痛みの原因と考えられており、心理療法が必要なことも多い。ただ、結果として首、肩の筋緊張の起こることが多いため、筋肉のマッサージ、理学療法などが効果的であり、鍼灸による治療効果も期待されている。もちろん、薬物療法もあるが、医師は薬を二次的な手段と考えている。

2)自分で出来るマッサージ
「まず、自分で出来るマッサージもやってみて下さい」 医師はAさんに筋肉マッサージをはじめた。
「消炎鎮痛薬の入ったクリーム(ゲル)を使います。両手の中指にたっぷりつけたクリームを首の後ろから肩にかけてオイルマッサージのようにまんべんなく塗ります。ぬるぬるしますが、そうすると自分で筋肉のしこりがわかります。ここにもしこり、ここにも、押すと痛みますね。そこを集中的に指でマッサージします」
「マッサージ、気持ちが良いです」
「自分でマッサージして下さい。筋肉疲労の手当です」
 Aさんは、言われるように自分でもマッサージをしてみるが、筋のしこりがなかなか見つからない。以前マッサージにかかったことはあるが、自分で治そうと思ったことはないので自信がない。
筋肉はちょっとしたストレスで緊張しやすい。特に首の後ろの筋肉は、うつむき姿勢や目の疲れで緊張する。パソコンを使う作業などが、その典型である。筋緊張からくる肩こり、頭痛は能率よい仕事を妨げるだけでなく、片頭痛の誘因になることもある。

「Aさん、それでは1ヶ月後にまた拝見察せ手下さい。頭痛ダイアリーも是非持ってきて下さい」
「先生、有り難うございました」
「お大事に」

(11)薬の注意事項
(1)どんな頭痛ですか?
診察風景

H23.03.03.
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