頭痛専門外来での診察風景


(3)片頭痛か?


「今までのひどい頭痛について聞かせて下さい。頭痛がひどくなると、脈打つような、脳に心臓があるような痛みを感ずることがありますか」
「そう、あります。でも、ないときもあります」
繰り返し起こる、ひどい頭痛。医師は、Aさんの頭痛は慢性頭痛と見当をつけ、まず片頭痛を頭にうかべる。少なくとも、今までに経験のない頭痛が急に起こったわけではないので、クモ膜下出血や、脳出血などではなさそうだ。
「頭痛の時はどんな様子ですか?動くと辛いですか?吐き気や、光とか、音に過敏になることがありますか」
「動きたくはないです。でも吐き気はしません。光や音に過敏って、そんな感じもしない気がします」 Aさんは自信なげに答える。
片頭痛の特徴的な随伴症状が、そのままあてはまるわけでもないようであった。そこで、医師はAさんに頭痛の記憶を新たにしてもらうために、やや誘導尋問ふうに聞いてみる。
「でも、頭痛の時は、暗い静かな部屋で、じっと動かずに寝ていた方が楽ですか。それに、吐き気までいかなくても、気分が悪くなることはないですか」
「それはそうです、そういえば出来るだけ静かに寝ていた方がもちろん楽ですし、そうしています。気分が不快になることはあります、吐き気かもしれません。そういえば、前に吐いたことがありますが、頭痛と関係があるとは思いませんでした」 今度は、Aさんははっきりと答えてくれた。
片頭痛は脳の血管が拡張して痛む頭痛と考えられ、血管が脈打つような痛みが特徴である。しかし、頭の痛み方には色々な要素が関係し、痛みは色々に感じられる。特に頭痛の始まりには締め付け頭痛や、強く押される感じの頭痛が多い。頭痛がそのままで治ることもあるが、ひどくなると「脈打つ頭痛」になるのが特徴である。
Aさんの頭痛は、拍動性で、吐き気を伴い、時に嘔吐、光や音過敏、動くと頭痛の増悪といった、国際頭痛分類の片頭痛の診断基準を満たすことになる。片頭痛は片側の痛む頭痛が特徴とされているが、前兆のない片頭痛では両側の痛むことが多い。医師は、Aさんの頭痛が片頭痛と確信した。

(2)頭痛で会社を休んだことがあるか?
(4)慢性連日性頭痛
診察風景


H23.03.03.
Top of page