頭痛専門外来での診察風景

(4)慢性連日性頭痛


「Aさんの頭痛は片頭痛だと思います。でももう少し、聞かせて下さい。最近は毎日が頭痛のようですが、いつも同じ頭痛ですか?それとも、頭痛は毎日でも、ひどい頭痛は時々で、それ以外はそれほどでもないこともありますか」
「そうです。ひどい頭痛は週2日か3日です」
「そうすると、頭痛が2種類混じっていることになりますか。結構ひどい頭痛と比較的軽い頭痛と」
「でも、軽い頭痛といっても、いつひどくなるかわからない頭痛がほとんどです」 Aさんは、軽い頭痛という表現には抵抗を感ずるようだった。
医師は、Aさんの片頭痛は若い頃からあり、最近は他の頭痛も加わり、毎日頭痛に悩まされているのではないかと考えた。
「3年くらい前から毎日の頭痛ですね。その前にも、ときどきは軽くても頭痛があって、今のひどい頭痛に似たところがなかったですか。」
「はい、そういえば会社に入ったころ、それももっと前からあった気がします。でも薬局で買った痛み止めを飲むと、そのうち治っていました」
「そういった頭痛は時々きて、頭痛のない時はケロッとしていたのですね」
「そのとうりです」
「最近は痛み止めをかなり飲んでいますか。1週間にどれくらいになりますか」
頭痛のひどくなるのが不安で、毎日飲んでいます。早く飲まないと効かないので、予防的にも飲みます。1週間には少なくとも10錠は飲みます。でも最近、痛み止めがあまり効かなくなり、薬の量も多くなっています。こんなに痛み止めを飲んでいいのか心配です」 医師はAさんが頭痛外来を受診した理由が分かってきた。
慢性連日性頭痛は国際頭痛分類にはない用語であるが、臨床的には便利である。毎日の頭痛であるが、いくつかの頭痛が混じっているときの仮の診断名として使う。鎮痛薬の飲み過ぎにより頭痛がよりひどくなっていることもある。こういった頭痛をひとまず慢性連日性頭痛とするが、さらに頭痛が慢性化した原因をさぐり、治療を考える。

(3)片頭痛か?
(5)片頭痛が起こるのはなぜ?
診察風景

H23.03.03.
Top of page