頭痛専門外来での診察風景

(7)片頭痛と緊張型頭痛


「先生、私は頭痛が2種類あるといわれましたが、それは片頭痛と緊張型頭痛ですか」
「Aさんの頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛だと思います」
慢性頭痛の代表は片頭痛と緊張型頭痛である。日本での大規模疫学調査によると、15歳以上の8.4%(約840万人)に片頭痛があり、23%(約2300万人)が緊張型頭痛を経験したことがあると報告されている。片頭痛は脳の血管が痛む頭痛で、時々起こり1日か2日続く。脈打つ強い頭痛が多い。緊張型頭痛は頭部を支えている筋肉の収縮による持続性の痛みで、頭が強く締め付けられる感じがする。緊張型頭痛はストレス頭痛ともいわれ、精神的、身体的ストレスの最中におこりやすい。
「片頭痛と緊張型頭痛とを識別するコツがありますか」 Aさんは、自分の2つの頭痛の違いについてもっと知りたいと思う。
「頭痛が始まったら、体を動かしてみるとわかります」 医師はAさんに片頭痛と緊張型頭痛との違いを分かってもらうために説明を始めた。
「片頭痛は動くと辛い頭痛で、頭を振ったり、体操をしたりすると痛みがひどくなります。逆に緊張型頭痛は少し体操するとか、気分転換に体を動かすと頭痛が紛れるのが特徴です。何回かお辞儀の動作をしてみて、頭痛がひどくなったら片頭痛の可能性が大です」 
 一般に、脳からくる頭痛は動くと痛みがひどくなるといわれている。体を動かすと、脳から流れ出る静脈が圧迫され、脳内に鬱血がおこり脳圧が上昇して頭痛がひどくなる。例えば、脳腫瘍は大きくなると脳圧を高めるので、運動をするときや、トイレでいきむときに頭痛がひどくなる。片頭痛も脳の血管拡張により脳圧を高めているので、運動で痛みがひどくなる。それに対し、頭の外まわりの筋緊張が頭痛の原因になっている緊張型頭痛では、筋肉をほぐすような運動やストレッチ体操は痛みをほぐすのに効果的である。
「頭痛になってみないとわからないのですか」 Aさんの質問。
「診察でもわかります」 医師はAさんの診察を始めた。

(6)頭痛ダイアリー
(8)頭痛の診察(触診)
診察風景

H23.03.03.
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