頭痛専門外来
 A 休日の朝の頭痛 (H23.3.15.)

(3) 「こんなことなら、病院に来るんじゃなかった」


病院での診療が終わった後、Bさんの辛さには失望が加わっていた。頭痛もまだひどい。病院では問診、診察、MRI検査、痛み止めの点滴など、合計約4時間かかり、「気をつけてお帰り下さい」といわれて、会計の窓口では2万4000円を請求された。
まだ頭全体が脈打つように痛んでいる。点滴にかなり強い鎮痛剤と鎮静剤が入っていたせいか、体中がマヒしたようにけだるく、頭痛も少しはマヒしたような感じだった。

病院に着いたときも頭痛は続いていた。
「これまでにも似たような頭痛はありましたが、今日の頭痛はとてもひどくて、こんなに吐いたのも初めてです。」Bさんは医師の質問に的確に答えたつもりだった。
「それで、救急車まで呼んだんですか?」
「先生、死ぬかと思ったぐらいです」
頭痛ごときで救急車を呼んだことに、医師から皮肉を言われているような気がした。
「今までもあった頭痛ですよね。頭痛で死ぬことはありませんけど」
医師は小声で短くつぶやいて、問診を続けた。
「いつ頃から頭痛があるんですか?」
「拍動性の頭痛ですか?」
「拍動性って?」Bさんには、質問の意味がぴんとこなかった。
「ガンガンとか、脈打つ頭痛かと言うことです。片頭痛だと、拍動性の頭痛です。そのことがはっきりしないと診断が難しいんです」
はい、ガンガンはします」今のBさんには、それ以上の答えは出てこない。
医師は質問を切り上げた。
「脳のMRIとMRAを撮ります。脳出血とか脳動脈瘤がないかを調べる検査です」

前頁 次頁