A 休日の朝の頭痛 (H23.3.15.)
(4)MRI検査は最悪の体験だった。
狭い検査台に乗せられ、「動かないでくださいね」と技師に言われた。
頭をベルトで強く固定されたときは、頭の芯まで押しつぶされたような強い痛みが走った。
動きようもない。
「うー、」とうめくことしかできなかった。いつも頭痛のときは、頭や顔に触られるだけでも敏感に痛みが走る。ましてや、強くベルトで圧迫されるのは、拷問に近かった。
横に寝かされた狭い検査台が、自動的にすべるように頭の方向に動き、巨大なドーナツのような機会の中に吸い込まれていった。
「これから、火葬場で焼かれるようだな」
Bさんの苦痛は続いた。
突然、どこからともなく、大きく響く音が聞こえてくる。
「まるで、お寺の木ぎょうの音のようだ」
音が段々と大きくなり、容赦なくBさんの耳にひびき始める。頭痛の最中は音に敏感になっていて、音がするたびに脳がたたかれるようだ。
「だれか、この頭を切り取ってくれ」薄れる意識の中で叫ぼうとしたとき、音が消えMRIの狭い台が動き始め、巨大なドーナツの機会の外に出た。
「Bさん、終わりましたよ」
Bさんは我慢の限界まで頑張った気がした。
「MRI、脳に異常なしです。MRAでも脳動脈瘤は見つかりませんでした。脳の病気なしです。ご安心下さい」
医師は口早に説明した。
「安心?」
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