B 頭痛専門外来の受診
(5) 正直いって、不安なんです
Bさんにとって『不安』が最も辛かった。今日は、思い切って自分の気持ちを医師に伝えようと思った。
「10歳頃から頭痛が始まりましたが、時々だったし、半日か1日で治って、また元気になるので、親もあまり心配しませんでした」
「その頭痛が、最近は、ひどくなったのですか?」
「はい、大学時代には辛い頭痛が時々起こっていました。頭痛でドタキャンはざらでした」
「最近のひどい頭痛についておしえてくれますか?」医師は頭痛の現状について質問をはじめた。「ひどい頭痛はどれくらいの頻度ですか?週1回とか、月に1回とか」
「月に1回か2回です。寝込むような頭痛は2ヶ月か3ヶ月に1度くらいで、どうしても会社は休みます」
「どんな頭痛ですか?」
「はじめ、首から後頭部の方が凝ってきて、強く絞られるような感じが起こります。そのうちに頭全体に痛みが拡がり、目の奥もひどく痛くなります」
「痛みがひどくなると、脈打つような感じになりますか?」
「ほとんどは頭の全部が鉄の塊でグーっと押しつけられる感じですが、ひどくなると心臓が頭の中にあるような感じもします。はい、脈打つ感じです」
「頭痛は、頭の片側に起こりやすいですか?」
「頭全体に痛むことが多いですが、片側だけがひどく痛むこともあります。それも、右だったり、左だったり、その時によって違います」
「頭痛の最中は動くと辛いですか?紛れることもあります?」
「いえ、とても紛れることはありません。動くと、頭全体が割れそうになります。静かにしていてもはき気がしますが、動くと吐くのでじっとしています。いつだったか、何回も吐くので、半日くらいトイレの便器から離れられないこともありました」
医師はここまでのBさんの話しをまとめて、Bさんに診断名を伝えた。
「頭痛の最中は、静かな暗い部屋で、じっと動かずに寝ていたい。そういった頭痛が時々、軽いのも含めると月に1回か2回起こる。Bさんの頭痛は『片頭痛』に特徴的です」医師の診断だった。
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